相続税をおさえる4つの対策|土地住宅などの不動産がある場合のおすすめ方法も紹介
被相続人が残してくれた財産を相続するうえで多くの人が心配になるのが、「多くの相続税を支払わなければならないのでは?」という点です。
相続税にも基礎控除がありますが、被相続人がかなり多くの財産を持っていた場合、その価値が基礎控除額を上回る可能性は否めません。将来的に遺産相続の予定がある場合、被相続人が元気なうちに早めの対策を講じておくことが大切です。
今回は、相続税を抑えるための実践できる4つの方法とポイントを詳しく解説します。将来の相続に向けて準備をしている人は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
「相続税をおさえる」ってどういうこと?
相続税とは、遺産の総額から以下の計算式で算出した基礎控除額を差し引いた額に課せられる税金です。
【基礎控除額の計算式】3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば、被相続人である父親Aさんに対して、母親(妻)・長男・長女という3人の法定相続人がいた場合、以下のとおり基礎控除額は4,800万円になります。
【Aさんの基礎控除額】3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
そこでたとえば、Aさんが残した財産が4,000万円の場合、「4,000万円(財産)<4,800万円(基礎控除額)」となり、相続税は発生しません。一方で、たとえばAさんの財産が6,000万円の場合、「6,000万円(財産)>4,800万円(基礎控除額)」になることで、超過した1,200万円に税金がかかることになります。
相続税をおさえるための2つの考え方
相続税を少しでもおさえるためには、上記の6,000万円にあたる相続財産そのものを減らすことが大切です。また、たとえば不動産の場合、「昨年建てたばかりの新しい家」と「築40年の古い家」では、後者のほうが評価額も下がり相続財産額も減ることになります
相続税をおさえたい場合は、「財産そのもの」もしくは「財産の評価額」を減らす・下げる工夫をすることが大切です。
遺産相続でよく起こるトラブルについて「遺産相続でよく起こる6つのトラブル事例|相続トラブルを防ぐ2つの対策も紹介」の記事で紹介しているのでぜひご覧ください・
相続税をおさえるためにできる方法4選
相続税をおさえるための実践できる方法は、被相続人が保有する財産の種類・余命・家族構成などによっても変わります。ここでは代表的な4つの方法を紹介します。国税庁ホームページなどで具体的な制度を確認したうえで、自分の家族に合うものを検討してみてください。
持ち家で被相続人と同居をする
この方法は、「小規模宅地等の特例」という制度を使うための施策です。小規模宅地等の特例とは、被相続人が亡くなって土地を相続する場合に、相続する土地評価額を最大8割まで減らせる制度です。借地権などの権利にも適用されることから、この制度には「等」の文字がついています。
小規模宅地等の特例には、さまざまな要件があります。たとえば、被相続人と同居していた親族(配偶者以外)が土地を相続する場合、以下2つの要件をクリアする必要があります。
- 被相続人と同じ家に住んでいたこと
- 相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から数えて10カ月以内)までその家に住み、保有し続けること
また、土地の限度面積は330平方メートルであり、被相続人の自宅のなかで減額できる土地は以下のいずれかと決められています。
- 一軒家が建っている土地
- 二世帯住宅が建っている土地
- 購入マンションが建っている土地
この制度では、被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族が事業に使用していた土地の減額も可能です。かなり複雑な制度となります。
なお、被相続人である親兄弟などと同居することには、被相続人との生活のなかで遺産相続の準備や話し合いを一緒に進められる利点もあります。
被相続人の生前に相続財産の調査や整理を進めておけば、相続開始後の負担も減らしやすくなるでしょう。
生前贈与を行う
たとえば、被相続人の年齢が若く元気で多くの子ども・孫などがいる場合、早めに生前贈与を行って相続財産を減らすのも一つです。贈与とは、財産を持つ個人が別の相手に無償で財産を与える契約行為のことになります。
生前贈与の主な特徴・ポイントは、以下の3つです。
- 一人あたり年間110万円までは非課税
- 暦年贈与と一括贈与の仕組みがある
- 法定相続人ではない他人への贈与も可能
贈与税では一人あたり年間110万円までが基礎控除になることから、たとえば7人の子どもに一人110万円ずつ数年かけて贈与を行い、財産を減らす方法を暦年贈与と呼びます。
これに対して一括贈与は、たとえば教育資金として子どもや孫に贈与するのでれば1,500万円、住宅取得等資金は1,000万円までが非課税枠となっている仕組みです。一括贈与による非課税枠は、それぞれに期限があります。この制度を活用する場合、早めに国税庁のサイトを確認したほうがよいでしょう。
相続開始前7年以内に行われた暦年贈与は、相続税の課税対象になります。注意が必要です。
不動産を購入・賃貸経営する
これは、相続財産の評価を下げるための方法です。
たとえば、相続開始時に同じ価値の現金と不動産がある場合、不動産のほうが低く評価されることが多いです。相続税の計算上、一般的にはおおよそ8割程度の評価になるケースがおおくなります。そのため、被相続人にたくさんの現金がある場合、それを現金のまま相続するのではなく、そのお金で不動産を買うのも一つです。
また、被相続人が所有する土地がいわゆる“遊んだ状態”の場合、そこにアパートやマンションなどを建てて賃貸経営を始める選択もあります。建てた不動産を賃貸すると、その物件の価値を下げることが可能です。
ただし、不動産の価値は、周辺環境や政府の施策などによって変化する側面もあります。また、賃貸物件を建てても空室が多ければ、「賃貸利用されていない」とみなされる可能性が高いです。
被相続人の現金や遊んでいる土地の評価を下げる目的で不動産の購入や賃貸を始める際には、不動産投資や資産運用に詳しい専門家に相談したほうがよいでしょう。
墓地や仏壇などを買う
以下のような祭祀財産(さいしざいさん)には、相続税がかかりません。そのため、被相続人が元気なうちに「自分でお墓を買ってもらう」や「仏壇仏具を用意してしまう」などもおすすめです。
- 墓地、墓石
- 仏壇、仏具
- 神体、神具
- 仏像
ただし、相続税非課税になるのは「日常礼拝の用に供するもの」に限ります。一方で、たとえば「純金製の仏具」のように換金性や骨董的価値が高いものについては、祭祀財産であったとしても非課税財産とは認められない可能性が高いです。
祭祀財産と認められなければ、本来納税すべき相続税とは別にペナルティが課せられる可能性もあります。注意しましょう。
相続税をおさえるためにできる方法とその詳細
方法 | 内容 |
---|---|
持ち家で同居 | 小規模宅地特例を利用し、土地評価額を最大8割減らせる。 |
生前贈与 | 年間110万円まで非課税。相続開始前7年以内の贈与は注意。 |
不動産購入・経営 | 現金の評価を下げるため、不動産を購入して賃貸経営。 |
墓地や仏壇の購入 | 祭祀財産で相続税がかからない。換金性の高いものは注意。 |
相続税をおさえる4つの対策のまとめ
今回は、4つの相続税対策を紹介しました。被相続人が土地や住宅などの不動産を持っている場合、小規模宅地等の特例などの制度を使ったり、物件購入や賃貸で節税ができたりすることが多いです。ただ、そのためには多くの情報収集や準備が必要となります。専門家と相談しながら手続きなどを早めに進めてみてください。
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