給与明細で見るべき3つのカテゴリと項目|手取りアップにつながるポイントも解説
いわゆる会社員がお金の管理をしっかり行ううえでは、勤務先から発行される給与明細をチェックすることも大切です。給与明細を通じて自分の手取り金額や各種控除の中身を把握すると、具体的なマネープランも立てやすくなります。
今回は、いわゆる若手社員における給与明細への関心度を示すデータを確認したうえで、給与明細を詳しくチェックする効果とメリット、見ておいたほうが良い項目を紹介します。将来に向けてお金の管理をしっかり行いたい人は、ぜひ記事を読んでみてください。
INDEX
【若手】給与明細への関心と理解度を示す調査結果
登録者数51万人超のYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』を運営する税理士の菅原 由一氏は、18歳以上25歳未満の会社員1,000人を対象に「給与明細」に関するアンケートを実施しています。
この調査結果で社会人2年目以上の917人に「給与支給の際に、給与明細を確認するか?」と訪ねたところ、6割超の人が「必ず確認する」と回答しています。
ただし、この6割超の全員が給与明細の内容を理解しているわけではありません。自分の給与明細の内容を「理解している」と答えたのは、このうち約4割にとどまります。
また、「給与明細を見て驚いたことはあるか?」という問いでは、以下のような回答が並ぶ形になりました。
- 思っていたよりも手取りが少なかった(51.6%)
- 税金や社会保険料などが想像以上に引かれていた(40.8%)
- 給与明細で知らない控除が引かれていた(11.2%)
- 社会人2年目の6月から住民税が課税された(11.1%)
給与明細をチェックする効果とメリット
給与明細を毎回、細かくチェックすると、以下の効果やメリットが得られます。
自分の収支を毎月把握できる
給与明細は、自分の収支をリアルタイムで把握するための大事な資料です。たとえば「基本給25万円」という条件で入社した場合、自分の手元に入ってくる手取り額は、毎月25万円からさまざまな控除や天引きが行われた「後」のお金になります。
したがって、自分の手元に入る具体的な収入を知るためには、給与明細を見て「どのくらいの控除が行われているのか?」をチェックすることも大切です。
また、詳細は後述しますが、控除額は給与の変動の影響を受けるものです。
現時点の情報でマネープランを立てるうえでは、リアルタイムの手取額や控除額がわかる給与明細の確認が必要となるでしょう。
法定控除以外の控除をチェックできるため
給与から差し引かれるものには「その他の控除」もあります。これは、会社が労使協定を締結した場合に、初めて控除ができる項目です。具体的な名称・ルールは企業によって異なる部分もありますが、具体的には以下のような項目が該当します。
- 財形貯蓄
- 社内貯金
- 労働組合費
- 社宅・寮費 など
上記のような控除は、本人の申し出によって削れる場合もあります。たとえば、労働組合に加入するかどうかは、労働者本人の自由です。そのため、「労働組合加入のメリットがわからない……」などの理由で脱退を申し出ると、労働組合費の支払いも不要となります。
また、寮費があまりにも高かったりコストパフォーマンスが良いとは言えなかったりする場合、自分でアパートを借りて社宅手当をもらう形に切り替えるといったことも一つかもしれません。
上記のような申し出や変更をするうえでは、給与明細を見て「この費用項目は何だろう?」や「なぜこんなに多くの費用が引かれているのだろう?」と疑問を持つことが大切になります。
サラリーマンも利用可能な節税対策について「サラリーマンも利用可能な8つの節税対策|会社員が所得控除を申告する際のポイントも解説」の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
給与明細でチェックすべき3つの項目
給与明細でチェックすべき項目は、「勤怠」「支給」「控除」の3カテゴリに分かれます。ここでは、各カテゴリを見るときのポイントを簡単に解説しましょう。
勤怠
勤怠とは、給与計算のもとになる以下のようなデータの総称です。
- 出勤日数
- 就業時間
- 残業時間
- 遅刻
- 欠勤
- 早退
- 有給
たとえば、日勤・夜勤のある交替勤務であったり、残業が多かったりする場合、自分が申請した勤務日・勤務時間の内容が間違っていれば、給与計算も正しく行われません。自分の適切な給与金額を把握するうえでは、まず実際の勤怠状況と給与明細内のデータが合っているかを確認する必要があるでしょう。
支給
いわゆる支払金額に関する項目です。
- 基本給:各種インセンティブや手当などを含まない、毎月固定で支払われる金額。
- 総支給額:基本給に手当やインセンティブなどを足したもの。「額面」と呼ばれることも。
- 差引支給額:いわゆる手取り。総支給額から社会保険料や税金などが天引きされたうえで支払われる金額。
給与明細のチェックでは、「適切な手当をもらえているのか?」の確認も必要です。たとえば、休日出勤や深夜残業などをしていた場合、残業手当・休日出勤手当・深夜手当の項目を見る必要があります。
また、会社から支払われる手当は、結婚・離婚・引っ越し・単身赴任の終了……といったライフスタイルの変化によって、支給対象から外れることもあります。そのため、たとえば「離婚によって単身世帯に戻った」などの場合は、その旨を勤務先に伝える必要があるでしょう。
控除
控除は、給与から差し引かれる項目です。差し引かれる項目は、労働契約の内容や働く人の属性によって異なります。基本的には、以下の項目が並びます。
- 税金(住民税・所得税)
- 社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料・労災保険料)
税と社会保険料の計算式や制度は複雑であり、また、これまでの所得に基づく新しい金額が決定するタイミングも、それぞれに異なります。
たとえば所得税は、1月1日~12月31日までの収入金額から支払うべき税額が決まります。これに対して健康保険・介護保険・厚生年金の社会保険料は、その年の4・5・6月の給与支給額をもとに保険料が決定し、多くの企業では10月分の給与明細から反映されることが多いようです。また、介護保険料は、本人が40歳になった誕生月から納付義務が発生するものとなります。
同じ会社で働く社会人2年目以降の場合、前年度の給与明細との比較で「なぜこの項目の数字がこんなに上がっているのか?」という疑問を持つことからチェックを進めてみてもよいでしょう。
チェックする項目とその詳細
チェック項目 | 詳細 |
---|---|
勤怠 | 出勤日数、就業時間、残業時間、遅刻、欠勤、早退、有給などの勤怠データが正しいかを確認 |
支給 | 基本給、総支給額、差引支給額(手取り額)を確認。適切な手当が支給されているかもチェック |
控除 | 税金(住民税・所得税)、社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険)などの控除が適切かを確認 |
給与所得者の残業代と収入アップのポイント
給与所得者のサラリーマンが少しでも年収を上げたい場合、社会保険料を下げて手取り収入を増やすのも一つです。そのためのポイントになるのが、社会保険料の算出に用いる標準報酬月額を決める「4・5・6月の働き方」になります。
たとえば、4・5・6月にたくさんの時間外労働を行い多くの残業代が支払われた場合、4・5・6月における給与の平均金額も上がることから、自ずとその年の秋以降に支払う社会保険料も高くなります。一方で、この3ヶ月間の時間外労働をおさえられると、社会保険料も少なくなる可能性が高いです。
残業や休日出勤などの時間外労働は個人だけでコントロールできない側面もありますが、自分で調整可能な場合は、4・5・6月の残業をなるべく減らす挑戦してみてもよいでしょう。
給与明細で見るべき3つのカテゴリと項目のまとめ
給与明細には、マネープランの作成や手取り収入アップにつながる多くの情報が書かれています。また、「その他控除」の項目を見直すことで、余計な天引きが減ることもあるかもしれません。少しでも手取りを増やしたい人は、記事のポイントを参考にしながらぜひ給与明細の項目を細かくチェックしてみてください。
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