サラリーマンも利用可能な8つの節税対策|会社員が所得控除を申告する際のポイントも解説
いわゆるサラリーマンの場合、源泉徴収という形で勤務先企業が本人に代わって個人住民税や所得税を納付してくれることから、企業経営者や個人事業主などと比べて節税への意識が低くなりがちです。
しかし実際には、サラリーマンでも実践できる節税対策は、意外とたくさんあります。
今回は、サラリーマンでも実践しやすい節税対策を8つ紹介します。少しでも税金をおさえたい人は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
サラリーマンが「節税する」ってどういう意味?
サラリーマンの場合、毎月の給料から以下の社会保険料と税金が差し引かれた金額が手取り収入となる仕組みです。そのためサラリーマンは、個人事業主やフリーランスなどのように「パソコンや仕事着を経費で買って所得をおさえる」といった対策が難しくなります。
- 厚生年金
- 健康保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 個人住民税
- 所得税
ただし、サラリーマンの場合、「可処分所得を増やす」という考え方で節税することも可能です。可処分所得とは、以下の計算式で求められる自由に使えるお金になります。
可処分所得=給与-(社会保険料+税金)
各種控除によるサラリーマンの節税対策
サラリーマンの節税対策で最も実践しやすいのは、所得控除の各種制度を利用することです。所得控除とは、納税する人の生活状況に合わせて、所得額から一定金額を差し引く制度になります。
詳細は後述しますが、たとえば病気・ケガで長期入院や手術などをして金銭面の負担が大きかった場合、控除制度を利用することで所得税算出の根拠となる課税所得が少なくなったりします。また、所得控除には、生命保険や地震保険の保険料に対して利用できるものなどもあります。
なお、所得控除には15の種類があり、原則はサラリーマン本人による申告が必要です。ここでは、サラリーマンでも利用しやすい6種類の概要を紹介しましょう。
扶養控除
控除対象となる子ども・祖父母などと日常生活の財産をともにしている場合に、納税者の負担を減らすために使える制度です。以下の4要件全てに当てはまる人は、扶養親族に該当する可能性が高くなります。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
サラリーマンが扶養控除を受ける場合は、会社に扶養控除等申請書を提出する必要があります。また、給与年収2,000万円超などの理由で年末調整の対象ではないサラリーマンは、確定申告が必要です。
ほかの制度にもいえることですが、各種控除制度を利用したい場合は、早めに会社の人事総務部や最寄りの税務署に相談しましょう。
医療費控除
納税者本人と生計を一にする親族を含めて、1年間で支払った医療費が基準額を超えたときに、確定申告をすることで超過分が控除されて、税金の一部還付が行われる制度です。1~12月の間に実際に支払った金額から「10万円」と「所得総額の5%」のいずれか少ないほうを引いたものが、医療費控除額になります。上限は200万円です。
医療費控除を受けるためには、所得税の確定申告書に「医療費控除の明細書」を添付する必要があります。また、対象となる医療費の領収書は、5年間の保管が必要です。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制は、疾病予防および健康の保持・増進の目的で一定の取り組みを行っている人が、自分もしくは自分と生計を一にする配偶者とその親族のために12,000円を超える対象医薬品を購入したときに受けられる制度です。
疾病予防や健康の保持・増進に関する一定の取り組みには、市区町村が健康増進事業として実施するがん検診や、勤務先で実施する定期健康診断などの6項目があります。
セルフメディケーション制度は、医療費控除との併用ができませんので注意しましょう。
生命保険料控除
納税者本人が生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料のいずれかを支払った場合は、一定の所得控除を受けられるかもしれません。ただ、生命保険料控除の場合、以下のどちらに該当するかで取り扱いが異なります。
- 平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料
- 平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料
生命保険で保険期間が5年未満のものなどは、控除対象にならない場合もあります。
特定支出控除
サラリーマンの場合、会社への通勤やいわゆる転勤にかかった費用などは、個人事業主やフリーランスと違って節税対策に活用できないと思われがちです。
しかし、以下6項目からなる特定支出の合計額が、給与所得控除額の2分の1(最高125万円)を超えた場合、その超過分について確定申告によって給与所得額の計算上で控除することが可能となるケースもあります。
- 通勤費
- 転居費
- 研修費
- 資格取得費
- 帰宅旅費
- 勤務必要経費
上記の6項目には、それぞれに一定の要件があります。また、上記の費用が勤務先から補填された部分があり、その部分に所得税が課されない場合、補填部分は特定支出に含まれません。
ふるさと納税
ふるさと納税は、厳密にいえば寄付の一種です。納税者が好きな自治体や応援したい自治体を選び、寄付できる制度になります。ふるさと納税のメリットは、節税効果に加えて返礼品がもらえることです。
ふるさと納税では、寄付金額から2,000円を超えた部分に対して、住民税および所得税が控除されます。ただし、それぞれの控除額には上限があります。手続きの方法も、利用サービスや各自治体によって異なります。
ふるさと納税制度を利用する際には、早めに各自治体の情報を確認しましょう。
各節税対策とその概要
節税対策 | 概要 |
---|---|
扶養控除 | 扶養親族を対象に納税者の負担を軽減する制度 |
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った場合に税金が還付される制度 |
セルフメディケーション税制 | 健康増進の取り組みを行う人が対象医薬品購入時に控除を受けられる制度 |
生命保険料控除 | 生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の支払いで控除を受けられる制度 |
特定支出控除 | 通勤費や転居費など特定の支出が給与所得控除額の2分の1を超えた場合に控除可能 |
ふるさと納税 | 好きな自治体へ寄付することで住民税や所得税が控除される制度 |
資産形成するならiDeCoと新NISAの活用もおすすめ
人生100年時代の備えとして資産形成をする場合、金融商品の売却や配当の受け取りなどの運用益に対してかかる税金をおさえられる優遇制度を活用するのもおすすめです。具体的には、確定拠出年金の「iDeCo」と少額投資非課税制度の「新NISA」がいま注目されている制度になります。
iDeCoは、老後資金を目的としたものです。これに対して新NISAは、子どもの教育資金や将来の備え、住宅購入といった自由な目的で使える仕組みになります。資産運用に関心がある人は、ぜひ制度の詳細をチェックしてみましょう。
新NISAのメリットとデメリットについて「新しいNISAはどう変わる?新NISAのメリット・デメリットと合わせて解説!」の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
サラリーマンも利用可能な8つの節税対策のまとめ
今回は、サラリーマンでも利用しやすい6つの所得控除と、資産運用の優遇制度であるiDeCoと新NISAを紹介しました。これらの制度をうまく活用することで、多くの節税が可能になるかもしれません。興味がある人は、記事内で紹介した国税庁や金融庁などのホームページをチェックしましょう。
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