国交省が空き家流通のビジネス化を支援|空き家ビジネス・副業の種類や具体例も紹介
近年の日本では、全国的に増加する空き家問題への対処が急務になる一方で、空き家を活用したビジネス・副業に注目する人が多くなっています。
また、国土交通省では、2024年6月21日に、空き家などの流通促進を目的とした「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定・公表しています。このプログラムの策定によって、今後は全国の自治体などで空き家流通のビジネス化支援がさらに進むことになりました。
今回は、空き家ビジネス・空き家副業と、国土交通省が公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」の概要を確認したうえで、空き家ビジネスをするメリット・デメリットを解説します。記事の後半では、実際に行われている空き家ビジネスの事例も紹介しましょう。
INDEX
空き家ビジネス・空き家副業とは
空き家ビジネス・空き家副業とは、いわゆる空き家を再生・活用し、ビジネスに役立てることです。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、1年以上住んでいないもしくは使われていない家のことを、空き家と定義しています。
空き家が増え続ける日本の現状
総務省による住宅・土地統計調査によると、空き家の総数は900万戸に達し、2018年の849万戸から51万戸増加して過去最多となっています。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%で、2018年の13.6%から0.2ポイント上昇し、こちらも過去最高です。
都道府県別の空き家率では、和歌山県および徳島県が21.2%で最も高く、次いで山梨県が20.5%となっています。
管理が行き届かない空き家が増えると、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 防犯性の低下
- 防災性の低下
- ゴミの不法投棄
- 衛生環境の悪化
- 景観の悪化
国や各自治体では、こうした問題を防ぐために、空き家を減らすことを目的とするさまざまな施策を講じています。
国土交通省による「不動産業による空き家対策推進プログラム」とは
国土交通省が策定・公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」は、空き家の発生から流通までを一括でサポートできる不動産業者を、各地域の空き家対策に有効活用しようとするものです。このプログラムでは、以下のような空き家活用に不可欠なノウハウを持つ不動産業者が求められます。
- 空き家物件の調査
- 空き家物件の価格査定
- 空き家の売買・賃貸の仲介
空き家対策推進プログラムにおける2つの軸
不動産業による空き家対策推進プログラムは、以下2つの軸で構成されています。
- 流通に適した空き家等の掘り起こし
- 空き家流通のビジネス化
①では、流通に適した空き家を掘り起こすために、各自治体と不動産業者が協力していくイメージです。また、空き家活用に関する高度な知見・経験を持つ担い手も育成していきます。各地域で①の施策が強化されると、空き家活用に関する相談や、賃貸・購入に向けた情報収集などもしやすくなるでしょう。
②では、不動産業者が空き家を取り扱いやすい仕組みを整備することで、空き家の賃貸・売買仲介を通じた利活用に力を入れる業者を増やします。それはつまり、不動産業者を通じて「空き家の貸し手・売り手」と「空き家をビジネス活用したい人」がつながりやすくなるということです。
空き家ビジネスのメリットとデメリット
空き家ビジネス・副業の具体的なメリット・デメリットは、「どのような物件で、何をするか?」で変わってくる部分もあります。ただ、一般的には、以下のメリット・デメリットをあげる人が多いです。
空き家ビジネス・副業のメリット
空き家をビジネスに活用する最大の魅力は、少ない初期費用で事業を始められる点です。
空き家を所有する側からすれば、誰かに物件を貸し、利活用してもらうことで管理不足による防災性や防犯性、景観などが低下を防げます。そのため、空き家のなかには100円で購入できる物件もあるほどです。また、国や各自治体には、空き家を利活用する人のために、補助金や助成金を用意しているところもあります。
築数十年~数百年の古い空き家には、たとえば古民家ならではの風情をカフェや宿泊施設のブランドイメージに活かせるメリットもあります。
空き家ビジネス・副業のデメリット
空き家ビジネスの注意点は、事業開始までに多くの改修工事が必要となる点と、維持管理費用が膨らみやすい点です。
たとえば、既存のトイレやお風呂などの設備を使うとしても、数年建てば老朽化から故障する可能性も高いでしょう。店舗の設備が壊れた場合、修理が終わるまでは営業できなくなるかもしれません。
空き家ビジネス・副業をする場合、こうした万が一に備えた資金計画も必要となります。
空き家ビジネス・副業における4つの具体例
空き家ビジネス・副業には、非常に多彩な種類があります。ここでは、空き家ビジネスにおける4つの具体例と実践時のポイントを紹介しましょう。
戸建て賃貸
戸建て賃貸は、改修工事できれいにした家を誰かに貸すという不動産投資の一種です。管理会社を活用すれば、手間もかかりません。忙しいサラリーマンなどでも挑戦しやすく、最も手軽な空き家ビジネス・副業になります。
ただし、戸建て賃貸で収益を得続けるためには、ニーズが高いエリアで空き家物件を購入し、住みやすい間取りや設備を用意する必要があります。
シェアハウス
都市部にある大きな空き家物件なら、複数の入居者に部屋を貸し出すシェアハウスにするもの一つです。シェアハウスには多くの人が入居するため、収益性が高くなりやすい利点があります。
ただ、シェアハウスの場合、さまざまな人が入居することから、人間関係のトラブルなどが起こりやすい側面もあります。シェアハウスのこうした問題を防ぐためには、性別・年齢層・職業・趣味などの属性で入居者を限定するのも一つかもしれません。
カフェ
カフェや雑貨店は、宿泊施設などと比べて各種規制のハードルが低く、空き家との相性がとても良い事業です。
カフェの場合、「和カフェ」や「レトロカフェ」といったコンセプトにすることで、建物の古い梁や柱などをそのまま活用できます。また、空き家に古い時代の家具やランプなどが残っていれば、それらをインテリアとして活用してもよいかもしれません。
カフェなどの飲食店を開業する場合、保健所に飲食店営業許可の申請を行う必要があります。
コワーキングスペース
多種多様な仕事をする人たちが一つの空間をシェアするコワーキングスペースも、空き家につくられることが多いです。コワーキングスペースの場合、移住や二拠点生活の希望者や、ワーケーション中のビジネスマンなど、地元だけでなくさまざまな人が集う場になったりもします。
また、コワーキングスペースで知り合った人との協働で、さらなる空き家活用のビジネスや副業を考えてもよいかもしれません。
なお、地方自治体のなかには、空き家活用の事例集を公開しているところもあります。
空き家ビジネス・副業の具体例と詳細
ビジネス例 | 詳細 |
---|---|
戸建て賃貸 | 物件を改修して賃貸に出すことで安定した収益が見込め、管理会社を活用すれば手間も少ない |
シェアハウス | 広い空き家をシェアハウスに変えることで、複数の入居者から安定した収益を得やすい |
カフェ | 古い建物の風情を活かしたカフェは魅力的なコンセプトになり、集客力が高くなりやすい |
コワーキングスペース | 多様な仕事をする人々が集まり、地域の活性化にも貢献できる魅力的なビジネス |
中古住宅について「家を安く買うなら「中古住宅」がおすすめ!新築よりも中古が人気の理由も解説」の記事で解説しているので、ぜひご覧下さい。
空き家ビジネスのまとめ
空き家物件を活用したビジネスや副業には、地域の社会問題を解決する効果もあります。また今後は、国土交通省が策定・公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」によって、ビジネスや副業に活用できる空き家物件がさらに探しやすくなることが予想されます。
空き家ビジネス・副業に興味がある方は、空き家の利活用方法やリフォーム・リノベーションに詳しい不動産会社を味方につけて、ぜひとも挑戦してみましょう。
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