人生100年時代に必要な「マネープラン」とは?|ライフプランとの違いや計画作成の4ステップも解説
日本人の平均寿命が伸び、人生100年時代に突入するなかで、各省庁や専門家などから「マネープランを立てることの重要性」に関する声が多く出てくるようになりました。また、マネープランは、予測できない変化が起こりやすいVUCA時代に資産形成するうえでも、作成しておいたほうがよいものです。
ただ、これまでマネープランと縁遠かった皆さんからすれば、やり方以前に言葉の意味がわからなかったりすると思います。また、マネープランという言葉に対して「面倒」「大変そう」といったネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、マネープランの意味・概要・メリットなどを確認したうえで、マネープラン作成の基本的な流れを解説します。自分の将来に漠然とした不安がある方は、ぜひ記事を参考にしてみてください。
INDEX
マネープランとは?
マネープランとは、money +plan英語が示すとおり「お金の計画」のことです。金融機関や各省庁では、将来の暮らしや資産形成に向けた中長期的なお金の計画を指す意味で、マネープランという言葉を使うことが多くなっています。
ただ、10年後や30年後の未来に向けて中長期的な計画を立てるうえでは、そこまでの過程となる「今週・今月・今年」などの短期的な計画ももちろん必要です。また、例えば「毎月○万円ずつの貯金で、2025年までに○○万円貯める」などの具体的な計画を立てるうえでは、収支の現状分析をすることも当然必要となるでしょう。
マネープランとライフプランの違い・関係性
例えば「22歳で就職、27歳で結婚、28歳で出産、29歳でマイホーム購入、48歳で子どもが成人、65歳から老後……」などの人生計画を、ライフプランと呼びます。そして、「就職」「結婚」「出産」などは、ライフイベントと呼ばれるものです。
自分で立てたライフプランどおりに人生を進めていくためには、各ライフイベントにおいて「結婚ではいくらお金が必要か?」などの具体的な数字を把握し、その実現に向けて「月3万円ずつ貯金をしよう」などのお金の計画(マネープラン)を立てる必要があります。
マネープランはライフプランを実現するうえで不可欠なものであると考えられます。
ライフプランとマネープランの違い
項目 | マネープラン | ライフプラン |
---|---|---|
定義 | お金の計画 | 人生計画 |
目的 | 資産形成のための計画 | 人生の各イベントを計画的に進めるための指針 |
例 | 毎月の貯金額、投資計画など | 就職、結婚、出産、マイホーム購入などのライフイベント |
マネープランの作成メリット
マネープラン作成は、以下の理由から人生100年時代に生きるうえで不可欠なものであると考えられています。
- ライフプランの実現性を高めるため
- 優先順位をつけるため
- 漠然とした不安を減らすため
ライフプランの実現性を高めるため
先述のとおり、結婚やマイホーム購入などのライフイベントは、実現するためにそれなりのお金がかかるのが一般的です。逆にいえば、お金が工面できなければ「3,000万円のマイホームを買う」や「子どもを私立大学に入れる」といった計画が実現できなくなります。
また、極端な話、「自分は生涯独身を貫くし、実家暮らしだからマイホームも要らない」といった人でも、定年退職をして老後の生活を送るとなればそれなりの生活費が必要です。また、病気になれば通院費・薬代などもかかるかもしれません。
長い人生のなかで訪れるライフイベントを計画どおりに実現し、途中で起こる病気や介護などの問題を乗り越えるためには、早いうちからマネープランを立てて必要な費用を準備しておくことが大切となります。
優先順位をつけるため
結婚をする・家を買う・海外旅行に行く……といったライフイベントの費用は、自分の生涯年収のなかで賄う必要があります。その点、多くのサラリーマンの生涯年収は、2億円前後とされています。2億円という限られたお金のなかでライフイベントを実現していためには、優先順位をつけることも大切です。
例えば、人生100年時代に生きるうえでは、定年退職後~100歳ぐらいまでの老後資金が必要です。
老後は若い頃のようにバリバリ働ける可能性も低いことから、多くの場合、老後資金の優先度は自ずと高くなると考えられます。また、老後資金はローンが組めない点で、教育資金や住宅購入費用といったほかのライフイベントとは大きく異なる項目になります。
また、30代~40代の多くは、子どもの教育資金と住宅ローンの返済が重なりやすい傾向もあります。
ローン返済と子どもの学費・仕送りなどを両立させるためには、綿密なマネープランを立てる必要があるでしょう。
漠然とした不安を減らすため
先述のとおり、例えば子どもの大学進学と住宅ローンの返済時期が重なれば、自ずと家計は苦しくなります。ただ、こうしたなかで綿密なマネープランを立てていれば、「長女の短大生活が終わると、次女の大学進学までの3年間は余裕が出る(⇒あと1年半のガマンだ!)」などと先を見通せるようになります。
また、最近では、食材や光熱費といったさまざまなものが高騰し、家計への影響も出やすくなっています。食費や光熱費が膨らめば、貯金計画の実現も難しくなるかも知れません。
ただ、マネープランを立てるなかで現状の支出を把握しておくと、「月々の貯金額3万円をキープするために、自転車通勤に切り替える」や「ほかに節約できる項目がないから、物価高騰の間は貯金額を2万円に下げる」といった対処・見直しも可能になります。
マネープランをベースに今できる早めの対処を行えば、漠然とした不安も緩和し、コツコツ前に進み続けることができるでしょう。
マネープランの立て方
マネープランの作成は、以下の4ステップで行うのがおすすめです。
- 収支の現状を把握する
- ライフプランから必要なお金を考える
- マネープランに落とし込む
- プランの見直しをする
収支の現状を把握する
最初に行うのは「いくらお金が入って、いくらお金が出ているのか?」という現状把握です。現状把握では、食費・教育費・交通費・通信費・保険……と、項目別に金額を出す必要があります。現状を詳しく把握することで、例えば「物価高騰で食費が膨らんでいるから、スマホを安いプランに変えよう」などの対策も考えやすくなります。
ライフプランから必要なお金を考える
次に、「自分はどのような人生を送りたいか?」というライフプランの整理を行います。例えば、結婚したばかりの20代夫婦であれば、以下の内容を話し合うことで2人のライフプランが見えてくるでしょう。
- 子どもは何人ほしいか?
- 子どもは何歳ぐらいまでにつくりたいか?
- マイホームを買うか?賃貸暮らしを続けるか?
- マイホームを買うなら、どこにいくらぐらいの家を購入するか?
- このまま会社員でいくか?事業主として独立するか? など
将来のライフイベントで必要なお金の目安を「生涯のライフイベントで必要なお金の目安|結婚・出産・子育て・マイホーム購入・老後の費用を紹介」の記事で紹介しているのでぜひご覧ください。
マネープランに落とし込む
ライフプランの整理でで洗い出した内容を実現するために、資金計画を考えていきます。ここでのポイントは、以下の3つです。
- いつまでに何万円が必要か?
- 今後の収支はどのように変化していくのか?
- 年間で何万円の貯金ができるのか?
上記の3点を意識すると、例えば「子ども2人を4年生大学に入れたいから、そうすると準備できるマイホームの頭金は○万円ぐらいになりそう……」などの具体的な数字が見えてきます。また、例えば夫婦共働きの場合、「今後の収支はどのように変化していくのか?」を考えることで、産後の復職時期や働き方なども自ずと見えてくるでしょう。
プランの見直しをする
私たちの人生は、すべてが計画通りに進むとは限りません。例えば、以下のような想定外の出来事や変化が生じた場合、当初のライフプランの実現が難しくなることもあります。
- 夫が病気になり、世帯収入が少し下がってしまった……
- 夫の転勤になり、郊外で暮らしたほうが便利になってしまった……
- ○○市に良いマンション物件が見つからない……
- 職場近くの保育園が見つからず、妻の職場復帰が遅れている……
- 義母の介護をするため、妻が時短勤務をすることになった…… など
また、自分や家族のライフスタイルに変化がなくても、例えば建築資材や地価の高騰や勤務先の経営状況といった外的要因で、ライフプランの実現が難しくなることがあるかもしれません。
こうした状況に陥った場合、ライフスタイルの変化に合わせてライフプランやマネープランを見直していくことも大切です。
ライフプランやマネープランの見直しを定期的に行うと、自分のライフスタイルや社会の現状に合った計画を選択することで、無理なく目標に向けて近づきやすくなります。
人生100年時代に必要な「マネープラン」のまとめ
日本が人生100年時代に入り、世界的なVUCA時代が続くなかで、自分のライフプランやマネープランを立てることの必要性は高まっていると考えられます。マネープランは、夢や目標の実現性を高めることのほかに、お金に関する漠然とした不安を減らすうえでも必要なものです。
この記事でマネープランに興味を持った方は、まずは、支出の現状把握をすることから始めてみてください。
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