【2024年】戸建て・マンション・賃貸の価格はどうなる?|人件費・資材高騰の背景も詳しく解説
近年における住宅建築の業界には、いわゆる資材高騰などの影響から家の購入費用や工期などにさまざまな問題が生じています。こうしたなかで念願のマイホームを買う・建てようとする場合、金額などの面で不安が生じるかもしれません。
また、従来と比べて家の価格が大きく上がるのであれば、「戸建てではなくマンションにする」や「いまはマイホームを購入せず、高騰が落ち着くまでは賃貸で暮らす」といった方向転換を検討する人も出てくるでしょう。
そこで今回は、2024年における住宅の建築業界の状況を確認したうえで、新築戸建て・新築マンション・賃貸物件の価格傾向と今後の動向などを解説します。もちろん、具体的な数字には、地域・間取り・使う資材などの条件で変わる部分もありますが、参考までにこの記事を読んでみてください。
INDEX
【2024年】住宅建築の注目トピックと価格動向
2024年の住宅建築における注目トピックは、「建築資材・人件費の高騰」と「建設業2024年問題」です。ここでは、各トピックの概要と、そこから予想される住宅建築価格の動きを解説しましょう。
建築資材・人件費の高騰
2024年の住宅建築で最も注目すべき点は、以下のような世界情勢や日本経済などの影響から住宅建築で使う材料が著しく高騰していることです。
- 木材の不足・価格高騰(ウッドショック)
- 鉄の不足・価格高騰(アイアンショック)
- 半導体の不足・価格高騰
- 燃料・光熱費の高騰
また、日本の建築業界の場合、少子高齢化などの影響で職人さんも不足しています。業界内の職人さんが足りない場合、人材確保するために労務単価(人件費)が上がります。
なお、国土交通省では、公共工事に携わる主要12職種の労務単価が以下のように著しく上がっていることを示す資料を公開中です。
引用:令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について(国土交通省)
これらのデータは公共工事に限定したものです。ただ、いわゆる大工さんや軽作業員などは家を建てる際にも必要となります。このことから、住宅建築における人件費や労務単価についても、上記のデータに近い状況が生まれていると考えてよいでしょう。
住宅建築にも影響がある「建設業の2024年問題」
2024年4月以降の建築・建設業界では、働き方改革関連法が施行によって以下ルールを守る必要が生じることになりました。
- 時間外労働の上限規制
- 年次有給休暇の取得義務化 など
その結果起こるのが、「建設業の2024年問題」です。
建築・建設業界には、先述のとおり少子高齢化などの影響でもともと慢性的な人手不足が生じていました。そこで「建設業の2024年問題」が起こると、各職人さんの労働時間が大幅に減ることで、ただでさえ少ない職人さんがさらに不足することになります。
建築資材と人件費の高騰はいつまで続く?
建築・建設業界における資材と人件費の高騰は、以下の理由から多くの企業や事業者の間で「当面はこのまま上がり続ける」と予想されています。
- 木材や金属などの価格は世界的に上昇し続けているから
- 2024年問題は始まったばかりであるから
- ウクライナ侵攻などがいつ終わるかわからないから
また、現在は世界的に、先行き不透明でなおかつコロナショックのような著しい変化が生じやすいVUCAの時代でもあります。
こうしたなかでマイホームの購入や建築をするのであれば、今後も建設工事費が上がる前提で資金計画などの準備を進めたほうがよいかもしれません。
戸建て・マンション・賃貸価格の動向と注意ポイント
ここまで紹介したとおり、住宅建築にかかる費用は全体的に高騰傾向にあります。ただし、購入者が住宅メーカーや不動産会社に支払う金額は、建築費用だけで決まるものではありません。多くは、物件の需要も踏まえて決まる傾向があります。
したがって、これからマイホーム購入に向けて情報収集などをするのであれば、「建築費用の高騰=マイホーム価格の高騰」と決めつけるのではなく、自分希望する物件カテゴリの動向を把握することも大切です。
ここからは、建築費用の高騰などが戸建て・マンション・賃貸の価格にもたらす影響と今後の動向、購入・契約をする際のポイントを解説します。
2024年の「戸建て」価格動向と購入ポイント
戸建ての建築費用は、ここまで紹介したとおり間違いなく高騰しています。ただ、戸建ての場合、アフターコロナの時代に入り需要や土地価格が大きく下がったことで、物件価格もかなり安くなっているのが実情です。
例えば、新築分譲の戸建て市場は、多くの人がステイホームを強いられていたことによる特需が終わり、従来の状態に戻りつつあります。ただ、多くの事業者は土地の仕入れをすでに済ませていたことから、住宅の販売在庫が需要を大きく上回っている状態です。
また、注文住宅の場合も、分譲住宅と同様に土地価格が下がっている影響を大きく受けています。また、費用高騰の報道から「注文住宅=高い」のようなネガティブなイメージがつき、多くの事業者が集客できずに焦っている状況です。
こうした状況で多くの事業者は、成約率を高めるために値引き幅が大きくする傾向があります。そのため、注文住宅の場合、「需要が低い「いま」が買い時である」という声も多くあります。
2024年「マンション」価格動向と購入ポイント
マンションは、新築・中古の両方で価格が上がる可能性が高いです。
新築マンションの価格が上がる理由は、それなりの規模の物件をつくるために広い用地をあらかじめ確保する必要があるからとなります。新築マンションの場合、供給できる戸数と価格が反比例の関係にあります。そのため、用地価格が高い首都圏では、これから新築分譲マンションの戸数がかなり少なくなる可能性が高いでしょう。
一方で中古マンションは、新築と比べて価格や立地などの選択肢がかなり幅広いです。例えば駅チカや築浅の物件は新築同様に価格が高騰傾向にありますが、一方で条件があまり良くない物件は価格も落ち着いている状態です。
こうしたなかから自分に合う物件を見つけるためには、不動産会社などに話を聞きながら、慎重に比較検討をする必要があるでしょう。
2024年「賃貸」価格動向と契約ポイント
賃貸物件の価格は、単身者向けとファミリー向けで動きが大きく異なります。
まず、単身者向けの賃貸物件は、コロナ禍による営業自粛や近年の不況の影響から、職を失ったり収入が大きく減少したり……といった理由から、退居者が大きく増えました。その結果、稼働率が大きく下がったことで家賃も全体的に安くなっている傾向があります。
一方でファミリータイプの賃貸物件は、価格高騰ですぐにマイホームが買えない人たちの入居が増えたことで、需要に比例して家賃も高騰している状態です。株式会社三井不動産系の日本アコモデーションファンド投資法人の資料によると、2023年8月期における賃貸住宅のファミリーカテゴリでは、賃料変動率が10.0%だったことが分かっています。
特に、東京都の家賃高騰は著しいものとなります。ファミリー層でマイホーム購入前に賃貸物件で暮らすことを検討している場合は、なるべく早めに物件を見つけたほうがよいかもしれません。
戸建て・マンション・賃貸の価格のまとめ
2024年の住宅建築の市場は、建築資材と人件費が高騰した影響を大きく受けています。
ただ、戸建て・マンション・賃貸物件の価格は、「資材と人件費の高騰=価格も上がる」という単純な話ではありません。先述のとおり、戸建てや中古マンションの場合、物件の選び方次第では、マイホームをお得に購入できる可能性もあります。
これからマイホームの購入をする場合、早めの情報収集をしながら市場の動きを冷静に見極めることが大切になるでしょう。