2024.4.18

ふるさと納税の制度改正(2023年10月以降)|主な変更点と基本的な仕組みも解説

ふるさと納税の制度改正|主な変更点と基本的な仕組みも解説
ふるさと納税は、寄附金控除と多彩な返礼品から自由に選べるメリットから、多くの人から注目される制度です。ただ、2023年10月以降は、制度改正によって返礼品の内容などに変化が生じています。

この記事では、最初にふるさと納税の概要や仕組みを確認します。そのうえで、2023年10月以降のふるさと納税における2つの大きな変更点と、制度の厳格化によって生じる返礼品の変化について解説します。

これからふるさと納税の制度を利用する方は、ぜひ記事内容を参考にしてください。

ふるさと納税の制度と仕組み

ふるさと納税の制度と仕組み

引用元:よくわかる!ふるさと納税(総務省)

ふるさと納税の「納税」は、自分が応援する自治体への「寄附」のことです。

重要ポイント

ふるさと納税では、この制度を通じて自分が応援する自治体に寄附をした場合、寄附額から2,000円(自己負担額)を越えた部分について、住民税と所得税から全額控除(寄附金控除)が受けられることが原則になります。

ふるさと納税の魅力は「返礼品」

ふるさと納税における最大の魅力は、寄附をすることで各自治体が用意した返礼品を受け取れる点です。各自治体では魅力的な返礼品の用意やプロモーションに力を入れており、ふるさと納税の専門サイトには以下のように魅力的な品物や体験チケットなどがたくさん並んでいます。

主な返礼品
  • 生鮮品(肉・魚・野菜・フルーツ など)
  • 加工食品(惣菜・スイーツ・乳製品 など)
  • 酒(ワイン・日本酒・ウイスキー など)
  • 日用品・雑貨(ティッシュペーパー・洗剤 など)
  • 装飾品・工芸品(ペンダント・メガネ・陶磁器 など)
  • チケット(旅行券・商品券・利用券・体験チケット など)

ふるさと納税は返礼品の種類がとても豊富であることから、制度を利用する側にとっては、寄附金控除が受けられることのほかに、選んだ商品を「食べる」・「使う」・「楽しめる」魅力もあります。

ふるさと納税による控除額はどのくらい?

例えば、給与所得者のAさんが、30,000円分のふるさと納税を行ったと仮定します。この場合、自己負担額の2,000円を除いた28,000円(30,000円-2,000円)が住民税と所得税から控除されるイメージです。

ふるさと納税などによる寄附金控除の額には、寄附をした本人の年収や家族構成に応じた一定の上限があります。

このAさんの年収が600万円で扶養家族に配偶者がいた場合、総務省が以下ページで公開する表(全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安)が示すとおり、69,000円が年間上限の目安になります。

 

納税額の目安

引用元:ふるさと納税 ポータルサイト 税金の控除について(総務省)

 
また、いわゆる事業主・年金収入がある人・ほかの控除を受けている給与所得者などの場合、年間上限の目安が上記とは異なります。具体的な上限額が知りたい方は、マネクラ所属のファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
 

ふるさと納税における控除額や控除時期などをまとめると、総務省が公開する以下の図のとおりになります。

控除額や控除時期などのまとめ

引用元:ふるさと納税 ポータルサイト 税金の控除について(総務省)

ふるさと納税による控除を受けるために必要なこと

ふるさと納税による寄附金控除を受けるためには、自分が応援したい自治体への「寄附」と、寄附をした翌年の「確定申告」が必要です。

ただし、平成27年4月1日以降は、もともと確定申告が不要な給与所得者などのために、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が導入されることになりました。この特例制度の条件は以下の2つです。

ふるさと納税ワンストップ特例制度の条件
  1. ふるさと納税先が5団体以内であること
  2. ふるさと納税先の自治体に、本人が自ら特例適用の申請書を提出すること

引用元:ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)(総務省)

FPまっさんコメント

FP 佐藤

ふるさと納税ワンストップ特例の適用を受けた場合、所得税からの控除は発生しません。その代わりに、ふるさと納税を行った翌年6月以降に支払う住民税が減額されることになります。

【2023年10月以降】ふるさと納税制度の改正内容

【2023年10月以降】ふるさと納税制度の改正内容
ふるさと納税の制度内容は、2023年10月から変わることになりました。主な変更点は、以下の2つです。

自治体側の必要経費ルールの改正

新しい制度では、ふるさと納税を行う自治体側の必要経費ルールが厳しくなりました。

まず、従来の制度では、各自治体がふるさと納税のために使える必要経費として「返礼品の調達費用」「広報費用」「配送費用」「寄付金受領証の発行費用」の4つが認められていました。

また、必要経費として認められる割合は、以下のように制限されていました。

従来のルール
  • 【ふるさと納税のために使える必要経費】寄附額の50%まで
  • 【そのうち返礼品に関連する経費】寄附額の30%まで

一方で2023年10月からの新制度では、上記に加えて以下の4つも新たに必要経費の項目として加わることになっています。

新しく追加されたルール
  • ワンストップ特例の事務費用
  • 仲介サイト事業者に支払う手数料
  • 発送費用
  • その他の付随費用
一言メモ

また、2023年10月以降は、上記の8項目の合計を寄付金額の50%以下に抑える必要が生じることになりました。

地場産品基準の改正

もう一つの改正は、熟成肉と精米の返礼品の場合、自治体と同じ都道府県内で生産された原材料を使ったものに限り、返礼品として認められるルールになったことです。

例えば、山梨県富士吉田市が返礼品として熟成肉を出す場合、山梨県内の肉を使っていた場合に限り、ふるさと納税の返礼品として総務省から認められることになりました。

ふるさと納税の制度が厳格化された背景

ふるさと納税の制度が厳格化された背景
2023年10月にこれだけ厳しい制度改正が入った背景には、従来から指摘されていた各自治体間における競争激化の問題が影響しています。

自治体にとってのふるさと納税は、新たな財源を確保できる魅力的な制度です。ただ、全国の納税者から寄附を効率よく集めるためには、ほかの自治体よりも魅力的な返礼品を出し「この自治体に寄附をしたい」や「この返礼品がほしい」などと納税者に感じてもらう必要がありました。

こうした背景から、自分のところの返礼品に注目してもらいたいと考える自治体のなかには、寄附額の5割を超える「隠れ経費」を使ったり、原材料をほかの都道府県から安く仕入れたりするところも出てきていたのです。

FPまっさんコメント

FP 佐藤

このような経費と地場産品の基準に関する問題があったため、総務省は2023年10月から各自治体に新しいルールを義務付けることにしました。

ふるさと納税の改正で起こる「変化」

ふるさと納税の改正で起こる「変化」
2023年10月以降は、必要経費と地場産品基準のルールが厳格化したことで、返礼品の質・量・種類・数が減少(低下)しやすくなるとされています。そのため、返礼品によっては「去年よりもグレードが下がった」や「野菜や果物の量が少なくなった」といったことが生じるかもしれません。

ただ、精米と熟成肉については、地場産品基準のルールが厳しくなったことで、その都道府県の原材料を使ったものを返礼品として受け取れるようになりました。

FPまっさんコメント

FP 佐藤

こうした背景から、例えば災害被災地などに対して「ふるさと納税のお米で○○県を支えたい」などの強い想いがある人にとっては、本当の意味での支援・応援がしやすい制度になったといえるかもしれません。

ふるさと納税の制度改正まとめ

まとめ
今回は、ふるさと納税の概要と、2023年10月以降の制度改正ポイントについて詳しく解説しました。新しい制度によって返礼品の量・数・種類などは変わる可能性がありますが、しかしそれでも、ふるさと納税は未だにお得度の高い制度です。

また、生鮮品などの場合、いわゆる「ワケあり品」を選ぶことで美味しいお肉や野菜の返礼品をお得にゲットできる可能性もあります。ぜひ各自治体やふるさと納税の専門サイトなどをチェックしてみてください。

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