2024.3.12

家計の見直しはなぜ失敗する?挫折理由から見える効果的な家計管理・節約の考え方を解説

家計の見直しはなぜ失敗する?挫折理由から見える効果的な家計管理・節約の考え方とは

最近では、物価高騰などの影響から、家計見直しの必要性を感じる人が多くなりました。一方で家計見直しには、実のところ継続が難しく、多くの人が途中で失敗・挫折をしている実態があります。

物価高騰などの対策として家計の見直しを行なう際には、主な失敗原因を把握したうえで、新たな家計管理や節約などを続けられる方法を模索することが大切です。

今回は、最初に家計見直しの必要性を感じている人の割合や、実施状況を確認します。そのうえで、多くの人が家計見直しに失敗する原因と、中長期的な家計管理や節約を続けるうえで大切なポイントを紹介しましょう。

「家計管理や節約を始めても三日坊主で終わってしまう……。」といった方も、ぜひこの記事を参考にしてください。

最近の日本における「家計見直し」の現状

最近の日本における「家計見直し」の現状

引用元:家計管理に関する実態調査(松井証券株式会社調べ)

松井証券株式会社の調査結果によると、生活費高騰などの影響から、調査対象者の7割以上が家計見直しに対して「必要だ」と感じていることがわかっています。一方で、実際に見直した人は、3割未満です。また、従来から家計管理をしている人の割合は、約半数にとどまっています。

このデータから、家計見直しに関心を持つ人は非常に多いものの、それを実践できている人の割合は意外に少ないことがわかります。

そもそも「家計見直し」とはなにか?

「家計の見直し」とは、少し漠然とした言葉です。

ただ、一般的には、物価高騰などの影響で家計が苦しかったり、現在の収入のなかでもう少し貯蓄を増やしたかったりするときに、支出を減らすために行なう一連の作業(以下①~⑤)を指すものになります。

支出を減らすための作業
  1. 収支の現状を把握する
  2. お金に関する新たな目標を立てる
  3. 加入プランなどを見直す
  4. 今後の家計管理や節約ルールを決める
  5. 実践する

ただ、注意点が一つあります。家計の見直しとは、「1回やって終わりではなく、継続が必要なもの」という点です。

最近は、光熱費・食費・交通費といったさまざまな費目が高騰し続けている状況です。

おまけに近年は、物事の不確実性が高く、将来の予測が難しいVUCAの時代になります。VUCAでは、コロナ禍の時短要請のように、個人の収入にまで大きな支障が出る問題が多発する可能性もあります。

こうしたなかで収支のバランスを整え、可能な範囲で貯蓄などを続けていくためには、以下のPDCAを回しながら、家計の管理や見直しを「続けていくこと」が大切になります。

PDCAサイクル
  1. P(plan(計画)):お金の使い方に関する目標・計画・節約ルールを立てる
  2. D(do(実行)):自分で決めたルールや計画を実践する
  3. C(check(評価・測定)):実践結果を振り返る
  4. A(action(対策・改善)):ダメだった点の改善策を考える(→①のP(計画)に戻る)

③で評価測定をするためには、家計簿などを使った「毎日の支出管理」が必要です。また、②で実行することは、自分で決めた目標・計画・ルールに基づく「節約生活」を指すでしょう。

こうしたことから、家計の見直しによって支出を減らす・貯蓄を増やすなどの成果を出すためには、PDCAの中身である家計簿の活用や節約生活の実践が必要となります。

家計見直しで「失敗・挫折」が起こる3つの要因

家計見直しで「失敗・挫折」が起こる3つの要因

引用元:家計管理に関する意識調査(株式会社マネーフォワード調べ)

家計見直しには、実のところ「続けられる人」もそう多くない傾向があります。

株式会社マネーフォワードによる「家計簿によるアンケート調査」によると、先述のPDCAを回すために不可欠な家計簿も、女性では7割以上、男性でも5割以上の人が挫折していることがわかっています。

気合いを入れて始めた家計見直しが続けられない人には、以下3つの要因が影響している可能性が高いです。

時間がない

比較的忙しい人に多いのが、家計簿で支出管理をしたり、自分が決めたルールで節約生活を実践したりする「時間がない」という理由です。

例えば、仕事の繁忙期で疲れていたり、残業などで帰りが遅かったりすると、「今日ぐらいは休んでもいいだろう」ということで、支出管理や節約ルールの実践習慣化が難しくなります。

完璧主義である

それなりに時間的余裕がある人に多いのが、最初から気合いを入れて丁寧にやりすぎることで、途中から疲れたり面倒になったりしてしまう「完璧主義」のパターンです。

支出管理や節約生活を完璧にやり続けようとすると、それ自体が大きな負担になることで、結果的に続けられなくなります。

外的要因の影響を受けやすい

例えば、自分や家族が病気になったり冠婚葬祭が続いたりすれば、当初の計画と比べて支出が数倍に膨らむことがあります。それ自体は、仕方がないです。

ただ、短期計画どおりに進まないことにガッカリしすぎた場合、著しいモチベーションの低下から家計の管理や節約自体をやめてしまうことがあります。

家計見直しを成功させるうえで大切なこと

家計見直しを成功させるうえで大切なこと

引用元:家計管理のコツとは?FPが教える4つのステップ

家計の見直しを成功させるためには、施術の失敗・挫折につながる3要因を解消していくことが大切です。そのためには、以下3つのポイントを重視しながら初回の家計見直しを行ない、自分なりのPDCAを回していくことが大切になります。

最初に固定費を見直す

最初に見直したいのが、以下のような「固定費」です。

  • 住居費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 保険料
  • 教育費
  • サブスプリクションサービスの料金

固定費とは、毎月もしくは数ヵ月おきに定額でかかる支出です。これに対して、食費・医療費・交通費・雑費などは、月によって金額が変わることから「変動費」と呼ばれています。

携帯電話のプランを一番低いものに変えれば、その効果がずっと続くことになります。この方法であれば、毎日の節約などを続ける時間的余裕がない人などでも、面倒さなどを感じにくいでしょう。

固定費を最初に見直す理由は、1度実施するだけで節約効果が持続するからです。

楽しみながらできる方法を考える

家計の見直しを続けるためには、支出管理や節約を「完璧」にやることよりも、「楽しく気軽にできる方法」を見つけるほうが大切です。

例えば、家計簿をつけるのが億劫な人には、家計簿×ゲームが合体したスマートフォンアプリを使うのもおすすめです。最近の家計簿アプリには、データやアカウントを家族で共有できるものもあります。

なお、株式会社PFUによる「家計簿に関するアンケート調査」では、家計簿を共有する夫婦の89.3%が、夫婦の時間や会話の満足度が高いことがわかっています。アプリを使った家計見直しを通じて、パートナーとの仲を深めてみてもよいでしょう。

中長期的な視点も大切にする

家計の管理や見直しを続けるためには、短期的ではなく中長期的な視点を持つことも大切です。

例えば、「今月は5万円貯める」などの目先の目標(短期的目標)は、日々のモチベーションを高めてくれる一方で、冠婚葬祭や病気などの想定外が重なったときに達成できない可能性があります。

また、目標達成できない状況が数ヵ月続けば、モチベーションの低下から「自分に貯金や家計見直しは無理だ」という投げやりな気持ちになるかもしれません。

一方で、「5年以内に200万円貯めて新しい車を購入する」という中期的な目標や、「10年で1,000万円貯めて家を買う」などの長期的な目標は、ときどき思い出すだけで家計管理や節約のモチベーションを高めてくれることでしょう。

チェックポイント

短期的な目標と中長期的な目標は、どちらが良い・悪いということではなく、車の両輪のようなイメージで設定し、それぞれの達成に向けて計画などを実施していくことが大切になります。

まとめ

家計の見直しで最も大切なのは、継続することです。長く続けるためには、負担が少ない方法高いモチベーションを維持することが大切になります。

将来的な「車を買う」や「家を買う」といった大きな夢や目標達成に向けていまから家計の見直しを始める方は、記事で紹介した以下3つのポイントをぜひ実践してみてください。

家計見直しで大切な3つのポイント
  • 最初に固定費を見直す
  • 楽しみながらできる方法を考える
  • 中長期的な視点も大切にする

マネクラではお客様のお金に関する相談に無料で対応しております。
実績あるFPがしっかりとヒアリングさせていただき、お客様にあったプランニングをさせていただきます。是非お気軽にお問い合わせください。

まっさん先生

監修者まっさん先生

ファイナンシャルプランナーとして15年、プランニングに関しては5000人以上の実績あり。中立的な立場から無駄・無理のないライフプランをプランニングしています。自身でも独身時代から不動産投資や株式投資などの様々な投資や節税対策を実践しており、失敗談等を交えた等身大のコンサルティングに定評がある。

特に節税分野に関しては国税出身の専門税理士と幅広く協業しており、法人を活用した個人の所得税関係のライフプランニングを得意としている。

プライベートでは、1男1女の父親として育児に奮闘中。家族単位で将来を見据え計画的に資産を形成していくライフプランニングが特徴。